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第47回日本芸術療法学会のご案内

第47回日本芸術療法学会 大会長挨拶

第47回日本芸術療法学会     
大会長 田中勝博(目白大学)

このたび日本芸術療法学会の47回大会を目白大学の新宿校地で開催することになりました。目白学園は小さなキャンパスですが、多くの樹木の緑が皆さんの心を和ませてくれると思います。歴史のある当学会の大会長という重責が私に十分につとまるとは思えませんが、運営委員一同で心あたたまる大会になるようにつとめていく所存です。会員の皆さまのご協力とご参加をよろしくお願いいたします。

大会のテーマを「芸術療法における祈り」としましたのは、ここ数年、目白大学心理カウンセリングセンターのスーパーヴァイザーとして指導を受けている熊倉伸宏先生の著作の中で、臨床には「秘められたる祈り」がいると指摘されていることに心惹かれたからです。また同様に、中井久夫先生も「時のしずく」というエッセイの中で、「“祈り”を込めない処方は効かない」と語っています。科学優勢の今の時代に、尊敬するお二人の先達が「祈り」について言及されたことに私は驚きました。そして、そのことについて学会員の皆さまと少しでも実りある議論ができれば思い、「芸術療法における祈り」というテーマを選びました。

特別講演は「芸術療法における祈り」というテーマで、熊倉先生にお引き受けいただきました。特別企画は、従来、洋楽やファインアートが中心でしたが、今回は日本古来の伝統芸能である能楽の観点より、大会テーマに即した演題「祈りの芸能としての能」という内容で、下掛宝生流ワキ方の重鎮である安田登先生にお願いしました。森田流笛方の槻宅聡先生にも共演していただけますので、講演だけではなく能楽の実演が体験できることを楽しみにしております。シンポジウムのテーマは、「芸術療法はクライエントにどう寄り添うか ~各国の視点から~」というテーマで大会テーマをより具体的な形で討論できるように設定しました。シンポジストは、アメリカからはLoyola Marymount Universityの教授でHelen B. Landgarten Art Therapy Clinic (LMUのアートセラピー・クリニック)の所長のPaige Asawa先生、韓国から韓國美術治療学会顧問、平澤大學校教授・美術治療センター所長の 李 根梅(い ぐんめ)先生、日本からは絵画療法の伊集院清一先生と詩歌療法の飯森眞喜雄先生の4名、そして指定討論者は高江洲義英先生にお願いしました。

遺伝子操作やIPS細胞などに象徴される科学技術の進歩と共に、臨床はいま、大きな転換点に来ているように思われます。精神医学的診断のマニュアル化に加えて、よりテクニカルな技法に目が向けられがちな昨今の状況があります。

臨床は失敗の連続です。われわれが学べば学ぶほど、テクニカルになればなるほど、おのれの無力感に苛まれるものです。しかし、このわれわれの無力感の中にこそ、テクニカルな言葉のやりとりだけでは得ることのできない、臨床の知や豊かな臨床体験があるのではないでしょうか。

中井久夫先生はリュムケの言葉を借りて、低次元のサイコセラピーが重要であり、芸術療法の有用性はそのさりげなさにあると述べています。芸術療法はけして高次元の療法ではありません。むしろ大きくクライエントを揺さぶらないものだからこそ、クライエントに寄り添うことができるのだと思います。芸術療法は粘土細工のような土臭い人間的な営みから、さりげなく差し出された一枚の画用紙から、クライエントの表現を通して生まれ、共にながめ、共に味わい続けていくことにその醍醐味があるのだと言えます。

芸術療法は、寄り添い続けるという臨床家の姿勢によって支えられています。そうした臨床家の覚悟こそが「祈り」であり、ただ寄り添い続けるという低次元の治療こそが、芸術療法のあるべき姿なのではないかと思われてなりません。

ある友人から昔、教わった言葉をもって、ご挨拶に代えさせていただきます。「クライエントの心が夜のしじまの中に留っている理由があるかぎり、臨床家はその心に寄り添い続けて欲しいと思う。たとえ光明が届くのが、ほんの一瞬にすぎないのだとしても 」

それでは当日、皆さまにお目にかかれるのを楽しみにしております。

大会テーマ 「芸術療法における祈り」
日 程
平成27年 11月28日(土) pdfファイルスケジュールはこちら
  11月29日(日) pdfファイルスケジュールはこちら
会 場
目白大学 新宿キャンパス 佐藤重遠・記念館  
目白大学HP http://www.mejiro.ac.jp/  
大会長 田中勝博(目白大学人間学部心理カウンセリング学科)
特別講演
「心の臨床における祈り」
熊倉伸宏(メンタルヘルス・コンサルテイション研究所)
 
特別企画
「祈りの芸能としての能」
演者:安田 登(下掛宝生流ワキ方能楽師)
演者:槻宅(つきたく)聡(能楽森田流笛方 重要無形文化財総合指定)
 
シンポジウム 「芸術療法はクライエントにどう寄り添うか」~各国の視点から~
シンポジスト:Paige Asawa(Loyola Marymount University)
       李 根梅(い ぐんめ)
       (韓國美術治療学会・顧問、韓国芸術治療学会理事長)
       飯森眞喜雄(いいもりこころの診療所)
       伊集院清一(多摩美術大学)
指定討論者: 高江洲義英(いずみ病院)、司会:田中勝博(目白大学)
参 加 費 事前申し込み(平成27年8月31日まで)
事前申し込みは受付終了しました。

 
  会員 6,000円
  非会員 7,000円
  学生・大学院生 3,000円
 


9月以降、当日受付にて支払い
 
  会員 7,000円
  非会員 8,000円
  学生・大学院生 4,000円
 
昼食事前申し込み 料金 1000円/1日 事前申し込みのみ受け付けます。
懇親会 11月28日(土) 目白大学新宿キャンパス 1号館カフェテリアにて
会費 4,000円
懇親会は、11月28日(土)の午前中まで受付いたします。

※事前申し込みは、会員の方は事務局ニュース4月号に同封します所定の振込用紙をご利用いただき、参加費の振込みによって完了とさせていただきます。
非会員の方は、第47回芸術療法学会事務局(geijutu2015@gmail.com宛に、以下の内容を記載し、メールでお申込みください。(氏名、ふりがな、所属、職種、連絡先、昼食の有無、懇親会参加・不参加)

※本学会は臨床心理士資格認定協会、日本精神神経学会、日本作業療法士協会のポイント取得の対象です。

演題応募要領

第47回日本芸術療法学会は平成27年6月30日をもって演題の募集を締め切りました。
多数のご応募、誠にありがとうございました。

お問い合わせ先

〒161-8539 東京都新宿区中落合4-31-1
目白大学心理カウンセリング学科 田中研究室内
第47回日本芸術療法学会事務局 宛
E-mail : geijutu2015@gmail.com

学会情報

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